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厚労省・中井機器課長 薬剤師と医師連携で“服用後”の薬物療法管理を MR含む情報提供の効率化が進む
厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課の中井清人課長は2月11日、都内で開催した昭和大学薬学部同窓会東京支部会の研修会で、地域包括ケア時代の薬剤師像について、「医師が大きな治療方針を決めた後は、薬剤師が医師と連携して薬物療法をマネジメントする。これにより、調剤技術料の2兆円の価値を生み出せるのではないか」と述べた。地域における医薬品情報の在り方についても言及。後発品の市場浸透やパイプラインの変化に伴ってMRを含む製薬業界に産業構造転換が求められる中で、情報提供の効率化が進むと見通した。その上で、「まちの薬局、クリニックまでMRが情報提供をするのか。地域の医薬品情報の担当者は薬剤師しかいない」との考えを示した。

調剤バブルと揶揄されるように、行政誘導による院外処方箋の増加に伴って、調剤技術料は2兆円規模まで膨らんだ。一方で、2010年度をピークに、薬局1軒当たりの処方箋枚数も減少に転じており、保険薬局の経営もこれまでの延長線上では考えられない時代に入った。今回の18年度改定をめぐる議論では、同一の調剤であっても院内処方と院外処方による格差があることなどが指摘され、いわゆる調剤バッシングも巻き起こった。

中井課長は講演で、「医薬分業は、医薬品の適正使用の手段であり、目的ではない」と強調した。保険薬局が増加する中で、「競争社会に入り、患者が保険薬局を選ぶ時代になる」と述べ、患者が継続して来局する姿へと変化することが必要との考えを示した。その上で、▽かかりつけ医と連携した、かかりつけ薬剤師の服薬管理(薬学管理の確立)、▽セルフメディケーションの推進−で役割を確立することが重要との考えを示した。

◎調剤バッシング跳ね返すのは地域住民の声OTCや健康食品きっかけに窓口機能発揮を

薬剤師が地域住民にとって、気軽に健康について相談できる存在となることで、最初に相談(ファーストアクセス)し、医療だけでなく介護まで含めた、地域での”窓口機能”を担うことに期待感を示した。一方で、そのきっかけとなる一般用医薬品(OTC)をすべての保険薬局が取り扱っていない現状を指摘。要指導薬や第一類医薬品は薬剤師しか扱えない中で、「薬剤師は本当にOTCを手放してもよいのか」、「OTCを置かないで、かかりつけ薬局になれるのか」と問うた。地域住民がOTCや健康食品について十分な知識を持たない中で、「誰が地域住民の健康を守るのか。薬剤師しかいない」と訴えた。

2016年度改定では、”かかりつけ薬剤師指導料”が新設された。18年度改定でも、さらに手厚い評価がなされ、この方向性がさらに推進されることになる。高齢化に伴って残薬や多剤併用が社会問題化する中で、かかりつけ薬剤師とかかりつけ医が連携し、服薬の一元管理を行う姿を描いた。これまで薬を渡す前に重点が置かれてきた薬剤師の業務だが、地域包括ケア時代に突入する中で、服薬後に医師と協働で行う薬物療法のマネジメントが重みを増した。かかりつけ薬剤師指導料はまさに、こうした”服用後”の薬剤師の役割を評価した点数と言える。

薬剤師の業務として服薬指導をあげる声も多いが、情報ツールが発達する中で、「服薬指導がメーンなのかということは今後考えないといけない。薬物療法のマネジメントをやるべきではないか」との考えを表明。米国などで行われている医師と薬剤師が協働して薬物療法を行うCDTMも紹介し、「独自で行うのではなく、医師と連携することがポイント」と強調した。また、病院薬剤師が医師や看護師など他職種から高い評価を得ていることにも触れ、病棟配置を念頭に、地域におけるチーム医療で薬剤師が役割を果たすことで、患者に喜ばれる業務を考えるべきだとの考えを示した。

中井課長は、こうした役割を果たすことで、「今の調剤バッシングに反論できるのではないか。2割、3割の患者が反論してくれればいい」と医薬分業の“2兆円の価値”を地域医療の現場から示していくことの必要性を強調した。さらに、18年度調剤報酬改定では、減算を受ける調剤基本料2、3ともに処方箋集中率が85%超まで厳格化されるが、こうした努力を通じて地域住民が継続して受診する、いわば”良い意味での抱え込み”を行う保険薬局となれば、集中率も低下するとの考えを示した。

◎MR「今のように必要かというと疑問だ」薬剤師はまちのDI機能を

この日、中井課長は医薬品産業政策と薬剤師についても言及した。日本は世界第二位の市場であるものの、欧米の市場ほどの伸びはなく、「相対的に市場規模は小さくなってきている」と述べた。日本市場はこれまで長期収載品の数量シェアが高く、後発品の市場浸透にも一定期間の猶予があった。ただ、薬価制度抜本改革や後発品80%目標などで、日本市場も大きく変化を遂げている。

中井課長は、「医薬品はグローバル製品だ。米国市場を中心に世界のグローバルファーマは考える」と述べた。その上で、後発品の市場浸透の早い米国を引き合いに、「日本も今後そうなる。製薬企業が研究開発に集中的に投資することが予想される中で、これまで以上に情報提供の効率化が図られていくのではないか」との考えを示した。

オンコロジー領域をはじめ、情報ニーズの高い医薬品の上市が今後も見込まれる中で、MRについては、「難しい薬が増えているのでその時には必要だが、今のように必要かというと疑問だ」と述べた。その上で、「効率化が図られる時に、まちの薬局、クリニックまで情報提供するのか」と指摘。医師に対して、新薬の臨床的位置づけを含めて、公平にエビデンスに基づいた情報提供を行える薬剤師が地域の医薬品情報を担うべきだとした。その際には、新薬の開発経緯、臨床試験の概要、臨床的位置づけなどを公平に示したPMDAの審査報告書が有用との考えも示した。



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