MixOnline
ニュース詳細

【ACCリポート】STREAM ST上昇型心筋梗塞患者への早期の線溶療法の有用性示す
発症1時間以内に緊急経皮的冠動脈インターベンション(primaryPCI)を実施できなかったST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対し、t-PAのテネクテプラーゼを用いた早期線溶療法と、必要に応じた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行により、PrimaryPCIと同等の心血管イベント抑制効果が得られることが分かった。臨床第3相試験「STREAM(StrategicReperfusionEarlyAfterMyocardialInfarction)」から示された。すでにGLでも迅速な線溶療法が推奨されているが、同試験の結果から再確認されたと言えそうだ。3月9〜11日の日程で開催された第62回米国心臓学会議(ACC.13)のLateBreakingClinicalTrialsセッションで10日、UniversityofLeuvenのFransVandeWerf氏が報告した。


PrimaryPCIは、専門施設に迅速に搬送されたSTEMI患者に対する再還流療法の有用な選択肢の1つとされている。しかし、大規模登録研究(レジストリー)の結果からは、最初の搬送先が緊急医療システムあるいはカテーテル対応不能な地域病院の場合、PrimaryPCIを実施するための施設間搬送の間に、ガイドライン(GL)で推奨される治療可能時間に遅れをとることが指摘されている。さらに、遅れた時間に比例して、イベントの発生率や死亡率が増加することも指摘されている。そのため、GLでも早期の線溶療法が推奨されている。


対象は、発症から3時間以内で、最初の医療機関の受診から1時間以内にprimaryPCIを実施できず、12誘導心電図で2点以上の隣接誘導もしくは前胸誘導で2mm以上のST上昇を認めたSTEMI患者1892例。早期線溶療法に加え、必要に応じて侵襲的治療を行い、標準的なprimaryPCIと、心血管イベント抑制効果を比較した。主要評価項目は30日以内の全死亡+ショック+うっ血性心不全+再梗塞。


線溶療法群、プライマリPCI群の2群(線溶療法群:939例、primaryPCI群:943例)に無作為に割り付けた。登録期間は、2008年3月19日〜12年7月26日までに15カ国99施設から1892例を登録した。最初の搬送先は緊急医療システムが81%、PCI非対応地域病院が19%だった。


線溶療法群は、施設到着時にテネクテプラーゼ+アスピリン+クロピドグレル(初回投与量300mg+75mg1日1回)+エノキサパリン(30mg静注+1mg/kg皮下注12時間毎)を投与。90分後の心電図(ECG)でST上昇が50%以上回復した症例には6〜24時間以内に血管造影を行い、必要に応じてPCI/冠動脈バイパス術(CABG)、非回復例は直後に血管造影を実施し、必要に応じて救済治療として、レスキューPCIを実施した。PrimaryPCI群は、施設ごとに定められている標準療法に準じた抗血小板および抗トロンビン療法を施行し、その後PCIを実施した。


なお、試験開始後、高齢者ではテネクテプラーゼ投与による頭蓋内出血の発生率の高さが指摘され、予定登録症例数(各群1000例)の20%に達した後、75歳以上患者に対してはテネクテプラーゼの投与量を半量に減量するよう、プロトコールが変更された。データ固定は、2012年9月7日。


登録時の患者背景は、高齢者(75歳以上)が14%、女性が約20%、KillipクラスIが94%、梗塞部位が前壁は48%、下壁が50%以上だった。糖尿病の合併率は、線溶療法群で12%、primaryPCI群で13%だった。違いがみられたのは、うっ血性心不全の既往率で、primaryPCI群で有意に多かった(1%未満対2%)。発症から治療開始までの時間(中央値)は、線溶療法群100分に対し、primaryPCI群では178分だった。施設到着と無作為化までに要した時間は、線溶療法群62+29分、primaryPCI群61+31分で大きな差はみられなかった。しかし、最初の治療開始までの時間は、線溶療法群でテネクテプラーゼ投与開始までに9分要したのに対し、primaryPCI群は86分と大きな差がみられた。

線溶療法群のうち、テネクテプラーゼ投与後2.2時間以内にレスキューPCIの施行は36%、17時間以内にカテーテル治療を施行が64%だった。

PCI施行前のTIMIグレードは線溶療法群で3が過半数など良好例が多数を占めたのに対し、primaryPCI群では、0が過半数を占めた。PCI実施率は、線溶療法群(944例)で80%と、primaryPCI群(948例)の90%に比べ、有意に低率だったが、PCI実施例でのステント留置率はともに96%だった。CABG施行例は線溶療法群4.7%、primaryPCI群は2.1%で、有意に線溶療法群で高い結果となった(p=0.002)。


◎Werf氏「約2/3の患者で緊急カテーテル治療を回避できる」

主要評価項目の心血管イベント発生率は線溶療法群12.4%(116例/939例)、primaryPCI群の14.3%(135例/943例)で、相対リスクは0.86(95%CI:0.68-1.09)と約2%有意に低下した(p=0.24)。

内訳は、全死亡(以下、線溶療法群対primaryPCI群)4.6%対4.4%(p=0.88)、心血管死3.3%対3.4%(p=0.92)、うっ血性心不全(CHF)6.1%対7.6%(p=0.18)、心原性ショック4.4%対5.9%(p=0.13)、再梗塞2.5%対2.2%(p=0.74)といずれも有意差はみられなかった。事前に規定したサブグループごとのイベント発生率は、一貫して線溶療法群で低い傾向が見られたが、有意差はみられなかった。

脳卒中発生率は、プロトコール変更前は、全脳卒中(1.60%対0.53%、p=0.03)、出血性脳卒中(0.96%対0.21%、p=0.04)ともに線溶療法群で有意に高率だった。高齢者への投与量を半量に減量した後は、全脳卒中(1.2%対0.66%、p=0.30)、出血性脳卒中(0.54%対0.26%、p=0.45)ともに有意差は認められなかった。

入院中の出血性合併症は、大出血(頭蓋内出血以外、6.5%対4.8%、p=0.11)、小出血(頭蓋内出血以外、21.8%対20.2%、p=0.40)、輸血(2.9%対2.3%、p=0.47)で、いずれも有意差は認められなかった。

結果を報告したVandeWerf氏は、発症1時間以内にprimaryPCIを実施できなかった、発症3時間以内のSTEMI患者に対する迅速な線溶療法について、頭蓋内出血がやや増加することを認めた上で、「心血管イベント抑制効果は、primaryPCIと同等で、約2/3の患者で緊急カテーテル治療を回避できる」と結論づけた。

登壇したパネリストらは、「すでにガイドラインで推奨されているものの、早期線溶療法の有用性を示した重要な一歩だ」と試験を評価した。一方で、高齢者では頭蓋内出血が多い傾向があることなど、安全性の観点から、「高齢者や体重60kg以下の患者では、異なる治療戦略を考慮すべきかもしれない」とも指摘された。



最新の国内
安倍首相 UHC推進に総額29億ドル規模の支援表明 医療費負...
日立 心疾患患者の再入院リスク予測するAI技術を開発  米医...
ファイザー・原田新社長 革新的医薬品の価値基準のひとつに“患...



最新の薬食審・薬価収載
大日本住友 パーキンソン病治療薬トレリーフOD錠50mg 1...


最新の海外
医師や保険者の8割が企業からの一層の情報求める PhRMA調...




Copyright © 2009-17 株式会社ミクス